「60進法」という言葉、数学や理科の授業で一度は見たはずなのに、いざ「どういうこと?」と聞かれると、なんとなくしか答えられない気がしませんか?
わたしも最初は「時間が60進法って言うけど、じゃあ100分超えた時間はどう説明するんだろう」と止まってしまったことがあって。意外と、腑に落ちるまで少し時間がかかる概念だなと思っています。
『ゴイノワ』のナギです。この記事では、60進法の意味から、なぜ60という数が使われてきたのか、わたしたちの暮らしのどこに残っているのかまで、順にほぐしながら書いていきます。
60進法って、そもそも何のことか
60進法とは、60個集まると1つ上の位に繰り上がる、数の表し方のことです。わたしたちが普段使っているのは10進法で、10個で次の位へ上がりますよね。60進法はその「くり上がりの基準」が60になっている仕組みです。
たとえば時計を思い浮かべてみてください。59分の次は60分ではなく「1時間0分」になります。60になったら分の位はリセットされて、時間の位が1つ増える。あれがまさに60進法の動きそのものなんですよね。
学研の辞典では「60ずつまとめて上の位に上げていく表し方」と端的に説明されています。算数的に言えばシンプルな話なのですが、10進法に慣れすぎていると、この「60でくり上がる」感覚がちょっと最初は引っかかったりします。
10進法と何が違うのか
10進法と60進法の一番の違いは、「何個でくり上がるか」というシンプルな一点に集約されます。10進法では0〜9の10種類の数字を使って、10になった瞬間に位が1つ上がります。60進法では、60になるまで同じ位にとどまります。
ただし、60進法の中の数字そのものは10進法の数字で表されていることがほとんどです。「59分」という表記自体は10進法の数字を借りていて、「60になったら繰り上がる」というルールだけが60進法のルールになっています。だからこそ「100分」という数でも表せるし、「60以上が存在しない」わけではありません。
混乱しやすいのはここかなと思っていて。60進法は「60以上の数が禁止」な仕組みではなく、60ごとに位が上がるルールの仕組みという理解が、一番しっくりきます。
なぜ「60」という数なのか
60進法のルーツは、紀元前2000年ごろの古代バビロニアにさかのぼります。メソポタミア文明の中で、シュメール人と呼ばれる人々がすでに60を基数とした記数法を使っていたことが、粘土板に残された楔形文字から確認されています。
「なぜ60なのか」という疑問は、わたしもすごく気になったところで。答えの一つは、60の約数の多さにあります。60は1、2、3、4、5、6、10、12、15、20、30、60と、12個もの約数を持っています。分割しやすい数なので、物を等分にするときや天体の動きを計算するときにとても扱いやすかったんですよね。
また、研究者の中には「10(両手の指の数)と12(1年の朔望月の数)の最小公倍数が60であることが理由の一つ」と見る説もあります。どれか一つの理由に絞り切れるわけではないのですが、60が「割り切りやすくて便利な数」として選ばれたことは間違いなさそうです。
今も暮らしの中にある60進法
古代バビロニアで生まれた60進法は、時代を超えてわたしたちの生活にしっかり残っています。身近なところでは次のような例が挙げられます。
- 時間の単位
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1分=60秒、1時間=60分。60になったら次の位へ進む典型例
- 角度の単位
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1度=60分、1分=60秒(角度の「分・秒」も60進法の単位)
- 地理の座標
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緯度・経度の表記でも「度分秒」形式の60進法が使われる
時計の文字盤を見るたびに、4000年前のバビロニアの名残を目にしているというのは、なんだか不思議な感じがします。数の仕組みって、意外と長い時間をかけて伝わってくるものなんですよね。
勤怠計算では10進法への変換が必要
現代の実務でも、60進法と10進法の関係に悩む場面があります。代表的なのが勤怠管理や給与計算です。勤務時間を「何時間何分」と60進法で記録しても、給与計算では「何時間(小数点)」という10進法の形に変換する必要があります。
たとえば「1時間45分」を10進法に変換するときは、45分を60で割って0.75時間とし、1.75時間として計算します。この変換が60進法と10進法をまたぐ作業の典型例で、表計算ソフトでも専用の計算式を使う場面があります。
ナギ45分を60で割ると0.75、つまり1.75時間になるんですね
60進法を知っておくと、何が変わるか
60進法という言葉を知らなくても、時計は読めます。ただ、「なぜ1分は60秒なのか」「角度の分・秒ってどういう単位なのか」という問いに、少し自分の言葉で答えられるようになるのは、地味に気持ちのいいことだったりします。
地図の座標や理科の角度計算で「度分秒」という表記を見かけたとき、60進法の考え方が頭の片隅にあると、変換の仕組みが自然に追いやすくなります。60で割る、60でくり上がる、この二つを身体感覚として持っておくだけで、ぐっと読み解きやすくなるはずです。
意味の芯を一度つかんでしまえば、あとはその都度「ああ、60進法か」と気づけるようになります。まず時計の「60秒=1分」から実感してみるのが、いちばんの近道かなと思います。










