FMEAとは?意味をわかりやすく解説|故障を未然に防ぐ分析手法

FMEAとは、製品や工程で起こりそうな故障や不具合を事前に洗い出し、その影響を調べて対策につなげる分析手法です。品質管理や設計の話で見かけることが多い言葉です。

『ゴイノワ』のナギです。略語だけを見ると難しく感じますが、何が壊れそうか、その結果どうなるかを順番に考える方法だと捉えると分かりやすくなります。

わたしなら、最初に「故障モード」と「影響」の二つを分けて見ます。ここが分かると、FMEAの表や評価項目を見たときにも迷いにくくなります。

目次

FMEAとは何をする手法?

FMEAは、起こり得る故障の形と、その故障が製品や工程へ及ぼす結果を系統的に調べる方法です。問題が起こる前に故障の可能性を探すところが大きな特徴です。

IEC 60812では、対象や工程がどのように機能を果たせなくなるかを明らかにし、必要な対処を見つけるための手法として説明されています。原因まで確認する場合もあります。

つまり、発生したトラブルだけを調べるのではありません。「もしここが壊れたら何が起こるか」と先回りして考え、影響の大きな箇所へ対策を向けるために使われます。

FMEAの読み方と正式名称

FMEAは一般に「エフエムイーエー」と読みます。英語のFailure Modes and Effects Analysisの頭文字を取った略称で、日本語では「故障モード・影響解析」などと表されます。

FMEA

Failure Modes and Effects Analysisの略称

故障モード

断線や摩耗など、故障が現れる形や状態の分類

影響

故障モードが製品や工程にもたらす結果

「故障」と「故障モード」は同じではありません。IPAの資料では、故障モードの例として断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化などが挙げられています。

FMEAでは何を調べる?

基本になるのは、対象の機能に対して「どんな故障モードが考えられるか」「それが起こると何に影響するか」をたどることです。必要に応じて原因や現在の対策も確認します。

ASQでは、故障の影響の深刻さ、発生の頻度、検出のしやすさなどを使って優先度を判断する方法が紹介されています。ただし、具体的な評価方式は適用する規格や運用によって異なります。

ここは意味を取り違えたくないんですよね。FMEAの目的は点数を付けること自体ではなく、対策すべき故障を見つけることにあります。

FMEAの基本的な進め方

実務で使う様式には違いがありますが、考える順番には共通する部分があります。まず対象と機能を決め、起こり得る故障モードと影響を挙げていきます。

  • 対象と機能を確認する
  • 故障モードを洗い出す
  • 故障した場合の影響を考える
  • 原因や現在の対策を確認する
  • 必要な追加対策を検討する

分析では、ただ思いつく不具合を並べるのではなく、部品や工程の機能と結び付けて考えます。過去の不具合や設計上の知識があれば、それも故障モードを考える材料になります。

評価結果から対策を決めた後は、内容を文書として残し、設計や工程の変更に応じて見直す使い方もあります。IEC 60812には、計画から実施、文書化、維持までが扱われています。

FMEAが使われる場面

FMEAは製品設計だけの手法ではありません。IEC 60812では、ハードウェア、ソフトウェア、人の行動を含む工程、それらの組み合わせにも適用できる一般的な方法とされています。

ナギ

製品だけでなく工程にも使えるんですね

たとえば製品なら、部品が断線したときに機能へどんな影響が出るかを考えます。工程なら、決められた作業が実行されなかった場合に、後工程や完成品へ何が起こるかを検討できます。

NITEも、製品開発の早い段階で潜在的な故障モード、その原因と影響を系統的に明らかにする方法としてFMEAを説明しています。未然防止という使われ方が分かりやすい例です。

FMEAとFTAの違い

FMEAと一緒に出てきやすいのがFTAです。どちらも故障やリスクを調べる手法ですが、分析を始める位置と、考えを進める方向に違いがあります。

手法考え方
FMEA構成要素の故障モードから影響をたどるボトムアップ型
FTA対象とする故障事象から原因をたどるトップダウン型

IPAは、FTAをトップダウン手法、FMEAをボトムアップ手法として示しています。何を出発点にして故障を考えるかが異なると覚えると、二つを混同しにくくなります。

FMEAは一つひとつの構成要素から影響を見ていくのに向いています。一方のFTAは、特定の望ましくない事象について、どのような原因の組み合わせで生じるかをたどります。

FMEAで誤解しやすい点

FMEAは「将来起こる故障を当てる方法」ではありません。考えられる故障モードを事前に挙げ、影響や原因を調べて、対策の判断材料にする分析です。

また、評価点やRPNだけを見れば十分とも限りません。IEC 60812:2018では故障モードの優先付けに複数の方法が扱われており、採点方法だけがFMEAの定義ではありません。

わたしなら、表の数字より先に「何が故障モードで、どんな影響を想定しているのか」を読みます。そこが曖昧だと、後の評価を見ても分析の意図がつかみにくいからです。

規格でのFMEAの位置づけ

FMEAについては国際規格IEC 60812:2018があり、FMEAとFMECAの計画、実施、文書化、維持について扱っています。幅広い対象に使える一般的な規格です。

日本では、対応するJIS C 5750-4-3:2021があります。日本規格協会の掲載情報では、2026年6月22日の確認時点でこのJISは「有効」と表示されています。

FMEAという名前が同じでも、業界や組織によって帳票や評価方法が同一とは限りません。実務で使うときは、採用している規格や社内手順まで確認する必要があります。

FMEAの意味をつかむには

FMEAは、故障モードを起点に、その影響や原因を調べて未然の対策につなげる分析手法です。製品や工程など、対象の機能が失われる可能性を事前に考えるために使われます。

似た手法のFTAとは、分析を始める方向が違います。また、FMEAの具体的な評価方式や帳票は一つに固定されていないため、使われている規格や運用も合わせて見ると理解しやすくなります。

みなさんがFMEAという言葉を見かけたら、まず「どの製品や工程の、どんな故障モードと影響を調べているのか」を文章や表から探してみてください。

情報は更新時点のものです。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。

この記事を書いた人

「ゴイノワ」ナギ

『くらしごと』では、暮らしの中で気になることや、動く前にちょっと確認しておきたいことをわかりやすくまとめています。

注目記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次