DSM-5とは?精神疾患の診断基準をわかりやすく解説

「DSM-5」という言葉を見かけても、名前だけでは何のことか想像しづらいですよね。心理学の本や発達障害の記事などで、急に出てくることもあります。

こんにちは、『ゴイノワ』のナギです。わたしも最初に気になったのは、「これは病気を判定するテストなの?」というところでした。

調べてみると、DSM-5は単なるチェックリストではありません。何のために使われるものなのかから知ると、かなり理解しやすくなります。

目次

DSM-5とは何のこと?

DSM-5は、アメリカ精神医学会が発行した精神疾患の分類や診断基準をまとめたマニュアルです。2013年に刊行されました。

正式名称は「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition」。日本語では「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」などと訳されます。

DSM

精神疾患を分類し、診断に使う基準などを示したマニュアル

うつ病や不安症、発達に関する障害など、それぞれについて症状や診断基準、経過、関連する特徴などが記されています。

DSM-5はどう使われる?

DSMでは、それぞれの精神疾患について「どのような症状があるか」「どのくらい続いているか」といった診断基準が示されています。

医療の現場では、こうした基準を共通のものさしとして使えます。医師によって診断の基準が大きく変わらないようにする役割もあるわけです。

ただ、ここで一度止まっておきたいところがあります。項目に当てはまれば自動的に診断が決まるわけではありません

自分で診断するための本ではない

DSMの診断基準だけを見ると、自分でもチェックできそうに感じるかもしれません。わたしもここは少し勘違いしやすいところだと思いました。

アメリカ精神医学会は、診断基準は訓練を受けた専門家が臨床的な判断とともに使うものだと説明しています。一般の人が機械的に当てはめるものではありません。

ナギ

チェック表そのものではないんですね

似た症状が別の病気や身体的な原因から起きることもあります。症状の数だけではなく、生活への影響なども含めて判断されるもの、と考えると近いです。

DSM-5-TRとの違いは?

現在DSMについて調べると、「DSM-5」だけでなくDSM-5-TRという名前も出てきます。この「TR」が何なのか、わたしなら先に確認しておきます。

DSM-5-TRは2022年に発行されたDSM-5の「Text Revision」、つまり本文改訂版です。DSM-5が2013年なので、その後の知見を反映した版になります。

項目内容
DSM-52013年に発行された第5版
DSM-5-TR2022年に発行されたDSM-5の本文改訂版

DSM-5-TRでは説明文や参考文献が更新され、診断基準の一部にも変更があります。「遷延性悲嘆症」が新たな診断として加わった点も特徴です。

DSMとICDは同じもの?

もう一つ、DSMを調べていると出てきやすいのが「ICD」です。名前が並んで書かれていることもあり、同じものなのか迷いやすいところ。

DSMはアメリカ精神医学会が作る精神疾患のマニュアルです。一方、ICDは世界保健機関が扱う国際疾病分類で、精神疾患以外の病気も対象にしています。

まったく無関係な仕組みではなく、DSMに記載される診断コードにはICDのコード体系が使われています。役割が重なる部分はあっても、同じ名称ではありません。

DSMには治療法も載っている?

「診断の本なら、そのまま治療方法まで書いてあるのでは?」と思うかもしれません。ここも意味を取り違えたくないところです。

DSMは精神疾患の評価や診断に使うマニュアルで、治療方法を示すガイドラインではありません。診断と治療は、いったん分けて考えたほうが分かりやすいでしょう。

つまりDSMで扱うのは、「どんな状態をどう診断するか」という部分が中心。その後にどんな治療を選ぶかは、別の情報や本人の状態も踏まえて検討されます。

DSM-5は診断の共通言語

DSM-5は、精神疾患の分類や診断基準などを示したアメリカ精神医学会のマニュアルです。現在は2022年刊行のDSM-5-TRが新しい版にあたります。

ただし、診断基準を読んで自分や誰かを判定するための道具ではありません。専門家が症状や経過などを見ながら判断するときに使う共通の言葉、と捉えると分かりやすいです。

次にDSM-5という表記を見かけたら、まず「何の診断基準について話しているのか」を見てみてください。そこが分かるだけでも、文章の意味を追いやすくなりますよ。

情報は更新時点のものです。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。

この記事を書いた人

「ゴイノワ」ナギ

『くらしごと』では、暮らしの中で気になることや、動く前にちょっと確認しておきたいことをわかりやすくまとめています。

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