DCF法とは?不動産の価値を求める仕組みをやさしく解説

不動産の価格について調べていると、家賃や利回りの話に混じってDCF法という言葉が出てきます。アルファベットだけを見ると、難しい計算をしないと理解できないように感じますよね。

こんにちは、「ゴイノワ」のナギです。わたしも最初に説明を読んだときは、何をどこから割り引くのかが見えず、計算式の前で一度止まりました。

けれど、意味の芯はそれほど複雑ではありません。将来その不動産から受け取るお金を、今の時点ではいくらの価値があるのかに置き換えて考える方法です。

DCF法は未来の収益から価格を求める

DCF法とは「Discounted Cash Flow法」を短くした呼び方です。日本語では、割引キャッシュフロー法と呼ばれることもあります。

不動産では、物件を持っている間に得られる純収益と、最後に売却して受け取ると見込まれる金額を使い、現在の価値を計算します。

将来受け取るお金を今の価値へ置き換える。まずは、この一文をつかんでおくと、後に出てくる数字の役割が追いやすくなります。

純収益

賃料などの収入から必要な費用を引いた金額

割引率

将来のお金を現在価値へ戻すために使う率

保有期間

物件を持ち続けると仮定して計算する期間

復帰価格

保有期間の終了時に見込まれる物件の価格

なぜ同じ金額なのに割り引くの?

DCF法で少し引っかかりやすいのが、将来受け取る金額を小さくして計算する部分です。同じ100万円なら、いつ受け取っても100万円ではないかと思いますよね。

ところが、今日受け取る100万円と、5年後に受け取る予定の100万円では、今の時点での価値が同じとは限りません。今日のお金なら、預金や投資などに使う時間があります。

反対に、将来のお金には予定どおり受け取れない可能性もあります。その時間の差や不確かさを数字へ反映させるために、割引率が使われるわけです。

ナギ

未来のお金は今より少し遠い存在です

不動産では二つのお金を見る

不動産のDCF法で対象になるお金は、大きく分けると二つです。一つは、物件を所有している期間に毎年入ってくる純収益です。

もう一つは、保有期間が終わった時点で物件を売却すると仮定した金額。こちらは復帰価格と呼ばれ、DCF法の結果に大きく関わります。

わたしなら計算式を読む前に、「持っている間のお金」と「手放すときのお金」に分けて見ます。この二本立てだと考えると、話がぐっと身近になります。

見るお金具体的な内容
保有中の純収益賃料収入などから運営に必要な費用を引いた金額
期間終了時の価値将来売却すると仮定した物件価格である復帰価格
DCF法による価格二つのお金を現在価値へ直して合計した金額

計算はどんな順番で進む?

実際の計算では、物件を何年間持つのかを決め、各年にどれくらいの純収益が出るかを予測します。毎年同じ金額になるとは限りません。

空室が増える年や、修繕に費用がかかる年があれば、手元に残る金額も変わります。年ごとの違いを反映できるのがDCF法の特徴です。

  • 毎年の純収益を予測する
  • 保有期間を決める
  • 売却時の価格を見込む
  • 現在価値へ割り引く

各年の純収益と復帰価格を現在価値へ直したら、最後にすべてを足します。計算式は長く見えても、行っていることはこの順番の積み重ねです。

簡単な数字で仕組みを見てみよう

たとえば、毎年100万円の純収益が3年間得られ、3年後には1,500万円で売却できると見込まれる物件を考えてみます。

割引率を5%と仮定すると、1年後に受け取る100万円の現在価値は約95万円です。2年後なら約91万円、3年後なら約86万円まで下がります。

3年後の売却価格も、そのまま1,500万円として足すわけではありません。売却までの時間を踏まえ、現在価値へ戻してから各年の純収益と合計します。

純収益は家賃収入と同じではない

DCF法を見るときに雑に決めたくないのが、純収益の中身です。家賃として入ってきた金額が、そのまま純収益になるわけではありません。

物件を保有していると、管理費や修繕費などが発生します。空室が出れば、本来得られるはずだった賃料も受け取れません。

どこまでを収入に入れ、何を費用として引いたのかによって、純収益の数字は変わります。家賃の総額だけを見ないことが、計算を読む最初の手がかりです。

割引率が高いと価格はどう変わる?

割引率は、将来のお金を現在価値へ戻すときに使われます。一般に割引率が高くなるほど、将来のお金の現在価値は小さくなります。

そのため、ほかの数字が同じなら、割引率を高く設定した計算ほどDCF法による価格は低くなる傾向があります。わずかな差でも結果は変わります。

評価額だけでなく使われた割引率も見る。数字の根拠まで確認すると、その価格がどのような考えから出たのかを読み取りやすくなります。

復帰価格は未来の売値を表す

復帰価格とは、保有期間が終わった時点で物件を売却すると仮定した価格です。ターミナルバリューと呼ばれる場合もあります。

たとえば5年間保有する計算なら、5年後の物件がいくらで売れると見込むのかを示します。現在の売値をそのまま当てはめるとは限りません。

建物の経年、周辺の賃料、市場の状況などによって、将来の価格は変わり得ます。復帰価格が高ければ、DCF法による評価額も高く出やすくなります。

直接還元法とは計算する期間が違う

不動産の収益から価格を求める方法には、DCF法のほかに直接還元法があります。二つとも収益還元法に含まれますが、使う数字の期間が異なります。

直接還元法では、通常は一期間の純収益を還元利回りで割り、価格を求めます。DCF法のように、各年の純収益を一つずつ計算する方法ではありません。

DCF法は年ごとの収益変化や、保有期間の終わりに売却する想定を入れられます。その分、直接還元法より多くの予測が必要になります。

比べる点DCF法直接還元法
純収益の期間連続する複数期間一期間
売却価格復帰価格を使う通常は個別に加えない
計算の特徴年ごとの変化を反映できる比較的わかりやすい

積算法とも注目する部分が異なる

不動産価格を求める方法としては、積算法という言葉も見かけます。DCF法との大きな違いは、価格を考える出発点です。

DCF法は、不動産が将来どれだけのお金を生むかに注目します。積算法は、土地と建物の価値をもとに価格を求める方法です。

収益を生む力から見るのか、土地や建物そのものから見るのか。この違いを知っていると、複数の評価額が並んでいても混同しにくくなります。

DCF法の金額だけで判断しない

DCF法は細かい予測を取り入れられる方法ですが、計算結果が未来の売値を言い当てるわけではありません。計算には、いくつもの仮定が含まれています。

賃料が想定より下がる、空室期間が長引く、大きな修繕が必要になるなど、実際の収支が予測と異なることもあります。

結果を見るときは、純収益、割引率、保有期間、復帰価格がどのように設定されたかを確認したいところ。ここを飛ばすと、金額の意味を取り違えやすくなります。

不動産以外でも使われる言葉

DCF法は不動産だけに使われる言葉ではありません。企業価値や事業への投資を考える場面でも、将来のキャッシュフローを現在価値へ直す方法として使われます。

ただし、不動産では賃料や空室、運営費用、復帰価格などが主な材料です。同じDCF法でも、対象によって計算に入るお金は変わります。

検索中に企業評価の説明が出てきても、基本の発想は共通です。不動産の記事では、物件から得られる純収益と将来の売却価格に置き換えて読むとよいでしょう。

評価表では前提の数字を先に見る

DCF法による評価表を目にしたとき、最初から長い計算式を追う必要はありません。まず、何年間の計算なのかを探してみてください。

次に、各年の純収益がどう変化しているか、割引率はいくつか、最後の復帰価格はいくらかを見ます。これだけでも、評価額ができる流れが見えてきます。

みなさんが投資判断に使う場合は、一つの評価額だけで結論を出さず、賃料や費用の想定が現実とかけ離れていないかも確かめたいですね。

DCF法は数字の前提まで読もう

DCF法とは、保有期間中の純収益と将来の復帰価格を現在価値へ割り引き、その合計から不動産の価格を求める方法です。

直接還元法より多くの期間を扱える一方で、割引率や将来の賃料、売却価格などの予測によって結果が変わります。出てきた金額だけを見ないのがコツです。

次にDCF法の資料を見かけたら、純収益、割引率、保有期間、復帰価格の四つを先に探してみてください。計算式を全部解かなくても、評価額が生まれた道筋を少しずつ読めるようになりますよ。

情報は更新時点のものです。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。

この記事を書いた人

「ゴイノワ」ナギ

『くらしごと』では、暮らしの中で気になることや、動く前にちょっと確認しておきたいことをわかりやすくまとめています。

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