「5末端」「3末端」という言葉、生物の教科書や参考書でさらっと出てきたとき、意味をつかめたと思っていたのに、複製や転写の話になると急についていけなくなる、ということがあります。
『ゴイノワ』のナギです。この記事では、5末端と3末端がそれぞれ何を指す言葉なのか、読み方の確認も含めてほどいていきます。
どちらもDNAやRNAの鎖の「端っこ」の名前なのですが、どの端がどちらかを混同しやすいので、今日は骨格の炭素番号から順番に見ていきます。
まず読み方から確認する
「5’末端」の読み方は、「ごプライムまったん」が正式な読み方です。英語ではfive prime endと読みます。日本では「ごダッシュまったん」と読む人も多く、教室や授業でもよく耳にしますが、ダッシュ読みは英語では通じません。
3’末端は「さんプライムまったん」、英語ではthree prime endです。記号の「’」はプライム記号であって、ダッシュ記号ではないというのが正確なところです。どちらで読んでも伝わる場面は多いですが、専門書や海外の文献を読むときはプライムで覚えておくと安心です。
5末端・3末端の意味のもと
DNAやRNAの鎖は、ヌクレオチドと呼ばれる小さな分子がいくつもつながってできています。そのヌクレオチドの中にある「糖」の部分がポイントで、この糖には1番から5番まで炭素原子に番号がついています。
5番目の炭素(5’位)にリン酸が結合して鎖の端になっている側が5末端で、3番目の炭素(3’位)に水酸基(OH基)がついて端になっている側が3末端です。「5’や3’の数字は糖の炭素番号から来ている」と押さえておくと、なぜこの名前なのかが少し見えやすくなります。
記号の「’」(プライム)がついているのは、塩基と糖の結合に使われている炭素の番号と区別するためです。同じ「1番」でも塩基側か糖側かで意味が変わるので、糖の炭素番号に「’」をつけて区別しているというわけです。
2本鎖では向きが反対になる
DNAは2本の鎖が向かい合って二重らせんを作っていますが、この2本は互いに逆向きに走っています。一方の鎖の5末端側には、もう一方の鎖の3末端側が並ぶ形です。
文字で書くとこんなイメージです。
- 1本目の鎖
-
5’──GACCGAGGTC──3′
- 2本目の鎖(相補鎖)
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3’──CTGGCTCCAG──5′
この「向きが逆」という性質はアンチパラレル(逆平行)と呼ばれます。DNAの複製や転写で方向性が問われるときの出発点がここなので、2本鎖は常に逆向きに並んでいるという感覚だけでも最初につかんでおくといいです。
方向性はなぜ大事なの?
DNAが複製されるとき、新しい鎖は必ず5末端から3末端の方向にしか伸びていきません。これはDNAポリメラーゼという酵素の性質によるもので、3末端のOH基に次のヌクレオチドを順番につなぐ仕組みになっているからです。
ナギ5’→3’方向、これだけは鉄板で覚えておきたい
転写でmRNAが作られるときも、同じく5末端から3末端の方向に合成が進みます。翻訳ではリボソームがmRNAの5末端側から読み始めて、タンパク質が作られていきます。5末端と3末端の方向性は、遺伝情報が流れるプロセス全体の「向き」を決めている基準になっているわけです。
迷いやすいポイントを整理する
5末端と3末端でいちばん混乱しやすいのは、「どちら側にリン酸があってどちら側にOHがあるか」です。わたし自身も最初は逆にしてしまいがちでした。シンプルに「5末端=リン酸側、3末端=OH側」と先に置いてしまうのが早いと思っています。
また「5’」や「3’」の「’」を読み飛ばしてしまうと、炭素番号と混同しやすくなります。記号が出てきたら「プライムがついている=糖の炭素の話」と一度頭の中で確認すると、迷いが減ります。
5末端と3末端、今日からの使い方
5末端はリン酸側、3末端はOH側。2本鎖では互いに逆向きに並んでいて、鎖が伸びるときは5→3方向にしか進まない。この3点がセットでつながると、複製や転写の話が一段と読みやすくなってきます。
読み方については、教室や参考書ではダッシュ読みもよく見かけますが、専門書や英語の資料ではプライムが正式です。どちらで読まれている場面かによって使い分けるか、はじめからプライムで覚えておくとスムーズです。
もし複製や転写の方向性がまだふんわりしているなら、DNAポリメラーゼが「3末端のOH基に次のヌクレオチドをつなぐ」という動作から調べてみると、なぜ5→3方向にしか進めないのかが見えてきます。そこまでつながると、リーディング鎖とラギング鎖の話も読みやすくなりますよ。












