検査結果や病院でもらった説明の中に「ESBL」と書かれていると、菌の名前なのか病気の名前なのか、最初はちょっと迷いますよね。
こんにちは、『ゴイノワ』のナギです。わたしもこの言葉を追っていて、まず「ESBLそのものは菌ではない」ところで一度止まりました。
意味の芯がここにあります。ESBLとESBL産生菌を分けて考えると、抗菌薬との関係や「保菌」という言葉もかなりつかみやすくなります。
ESBLとは何のこと?
ESBLは「Extended-Spectrum β-Lactamase」の略で、日本語では基質特異性拡張型βラクタマーゼなどと呼ばれます。
ESBLは細菌の名前ではなく、抗菌薬を分解する酵素の一種です。まずここを押さえると話が見えやすくなります。
- ESBL
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抗菌薬を分解するβラクタマーゼという酵素の一種
ESBLという略語だけを見ると何かの感染症名にも見えますが、そうではありません。この区別はあとで「ESBL産生菌」を考えるときにも効いてきます。
ESBL産生菌とは?
ESBLを作り出す細菌が「ESBL産生菌」です。代表的なのは大腸菌や肺炎桿菌など、腸内細菌目に含まれる細菌です。
ESBLを作る菌は、ペニシリン系や一部のセフェム系など複数のβラクタム系抗菌薬を分解できます。そのぶん、治療に使える薬が限られる場合があります。
ここでわたしが気になったのは、「強い菌になった」という理解でよいのかという点でした。実際には、病原性の強さと薬剤耐性は別の話として見る必要があります。
ナギ「菌」と「酵素」は分けて覚えたいですね
なぜ抗菌薬が効きにくいの?
ペニシリン系やセフェム系などの抗菌薬には、「βラクタム環」と呼ばれる構造があります。βラクタマーゼは、その部分を分解する酵素です。
ESBLはそのβラクタマーゼの一種で、従来より幅広い抗菌薬を分解できます。そのため「これまで使えた薬が効きにくい」という問題につながります。
名前にある「Extended-Spectrum」も、この分解できる抗菌薬の範囲が広がったという性質を表していると考えると覚えやすいです。
保菌と感染は同じではない
ESBL産生菌について調べると、「保菌」という言葉もよく出てきます。ここは意味を取り違えたくないところなんですよね。
保菌とは、体内にその菌が存在していても、感染症として症状を起こしているとは限らない状態です。ESBL産生菌が見つかっただけで感染症とは決まりません。
検査で菌が見つかることと、治療が必要な感染症であることは別です。無症状なら通常は治療対象にならないケースもあります。
どんな感染症で見つかる?
ESBL産生菌による感染症では、尿路感染症がよく知られています。ほかにも腹腔内感染症や肺炎などの原因になる場合があります。
特に大腸菌はもともと人の腸内にいる身近な細菌です。その菌がESBLを作る性質を持つと、感染したときに抗菌薬の選択へ影響が出てきます。
「ESBLがある=特別に珍しい菌」と思いそうですが、市中でもESBL産生大腸菌が確認されています。病院の中だけの話とは言い切れません。
検査でESBLと言われたら
もし検査結果でESBLという言葉を見かけたら、わたしなら「何の菌から出たのか」と「感染なのか保菌なのか」を先に見ます。
同じESBL産生菌でも、どこから検出されたか、症状があるか、薬剤感受性検査でどの薬が効くかによって話は変わってきます。
治療が必要な場合の抗菌薬は、菌の種類や感染した場所、重症度などを踏まえて医師が判断します。「ESBLならこの薬」と自分で決めるものではありません。
ESBLの意味を一言でつかむ
ESBLは、幅広いβラクタム系抗菌薬を分解できる酵素の一種です。そして、その酵素を作る細菌をESBL産生菌と呼びます。
言葉だけを見ると難しく感じますが、「ESBL=酵素」「ESBL産生菌=その酵素を作る菌」と分けるだけでも、かなり理解しやすくなります。
もし検査票でこの言葉を見かけたら、次は菌の名前と「保菌なのか感染なのか」を見てみてください。そこまで分かると、説明を聞くときにも話を追いやすくなりますよ。










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