ABO式血液型とは?凝集原と凝集素の仕組みをわかりやすく解説

「ABO式血液型」という言葉は生物の授業で出てきたり、献血の場面で目にしたりするわりに、ちゃんと説明できるかと聞かれると少し詰まることがある。何型かは知っているけれど、「式」の意味や、なぜ4種類に分かれているのかまでは、確認せずにいた、という方も多いんじゃないでしょうか。

『ゴイノワ』のナギです。この記事では、ABO式血液型の意味と仕組みを、生物基礎の視点も踏まえながら一度ていねいにほどいてみます。

凝集原・凝集素という言葉が出てくると急に難しく感じますが、順番に見ていくとそこまで複雑ではないんですよね。まずは「式」の意味から確認しましょう。

目次

「ABO式」の「式」って何?

血液型には実は300種類以上の分類方法があります。ABO式はそのうちの一つ、というのが出発点の話です。

「式」は分類方式のこと。血液中の赤血球表面にある抗原の種類によって血液をグループ分けする「やり方」が、ABO式血液型です。Rh式やMN式なども同じ意味で「式」と付きますが、日本で血液型といえばまずABO式を指すことがほとんどです。

名前の由来は、4つの血液型のうち2つがA型・B型と名付けられたこと。残りのAB型とO型を合わせて「ABO」と呼ぶようになりました。「O」はゼロ(0)が由来で、「どちらの抗原も持たない」という意味からきているといわれています。

凝集原と凝集素、ここが核心

ABO式血液型を理解するうえで避けて通れないのが、凝集原と凝集素の組み合わせという概念です。ここを押さえると、なぜ4種類に分かれるのかが一気に見えてきます。

凝集原は赤血球の表面にある抗原のこと。凝集素は血漿(血液の液体部分)に含まれる抗体のこと。この2つが特定の組み合わせで出会うと「凝集反応」が起き、赤血球が固まってしまいます。具体的には、凝集原Aと凝集素α(アルファ)、凝集原Bと凝集素β(ベータ)がそれぞれ反応します。

面白いのは、自分の血液の中では凝集を起こさないよう、自分が持つ凝集原に対応する凝集素を持っていないという点です。A型の人はA凝集原を持っているので、α凝集素は持っていない。この「矛盾しないような組み合わせ」が4パターンある、というのがABO式の基本構造です。

A型

凝集原A・凝集素β(αは持たない)

B型

凝集原B・凝集素α(βは持たない)

AB型

凝集原AとB両方・凝集素はどちらも持たない

O型

凝集原なし・凝集素αとβ両方を持つ

輸血と血液型の関係

血液型が医療現場で重要視されるのは、主に輸血との関連からです。異なる血液型の血液を入れると凝集反応が起きてしまい、赤血球が壊れて危険な状態になることがあります。

ナギ

異なる血液型の輸血は今では原則おこなわれません

かつてはO型の赤血球が凝集原を持たないことから「万能供血者」と呼ばれ、どの血液型にも輸血できると考えられていた時代もありました。しかし現在は、ABO式以外の血液型因子による反応リスクも判明しているため、基本的に同じ血液型どうしでのみ輸血が行われます

ABO式とRh式、何が違うの?

献血の際などに「A型Rh陽性」のように表記されているのを見たことがある方もいると思います。Rh式はABO式とは別の血液型分類で、赤血球表面にD抗原があるかどうかで「陽性(+)」「陰性(−)」を分けます。

日本人のRh陰性(Rhマイナス)の割合は約0.5%ととても少ないですが、白人では15%ほどいるとされており、人種によって大きく割合が異なります。ABO式とRh式は独立した分類で、どちらも輸血時に確認される重要な因子です。

発見されたのはいつ?

ABO式血液型を発見したのは、オーストリアの病理学者カール・ラントシュタイナーです。1900〜1901年ごろ、ある人の血清と別の人の赤血球を混ぜると凝集する場合としない場合があることを発見し、当初はA型・B型・C型の3グループに分類しました。

AB型は翌1902年に同僚の研究者が発見。C型はのちにO型へと呼称が変わり、現在の4分類が整いました。「ABO」という名称は1927〜28年ごろ国際的に正式採用されています。ラントシュタイナーはこの業績で1930年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。

生物基礎で出てくるABO式血液型

高校の生物基礎では、ABO式血液型は体液性免疫の文脈で登場することが多いです。抗原抗体反応の具体例として、凝集原(抗原)と凝集素(抗体)が反応して凝集を起こす、という流れが説明されます。

また、遺伝の単元では「複対立遺伝子」の例として扱われます。ABO式血液型に関わる遺伝子は第9染色体上にあり、I^A・I^B・i という3種類の対立遺伝子が存在します。優劣関係は I^A=I^B>i で、両親からどの遺伝子を受け継ぐかで血液型が決まります。

わたしが生物基礎の内容を改めて確認していて「なるほど」と思ったのは、免疫の文脈と遺伝の文脈が両方からABO式血液型を説明している点です。つながりを意識しながら覚えると、どちらの単元でも使える知識になりますよ。

ABO式血液型を改めて見てみると

ABO式血液型とは、赤血球表面の凝集原(抗原)と血漿中の凝集素(抗体)の組み合わせによってA・B・AB・O の4種類に分類された血液の型のことです。この分類は性格判断ではなく、輸血の安全性に直結する医学的な概念として発展してきました。

生物基礎で登場する場合は、免疫の抗原抗体反応の実例として、また複対立遺伝子の代表例として両方の角度から理解しておくと使いやすいです。どちらの文脈で出てきても「凝集原と凝集素の関係」という核心部分は変わりません。

もし生物基礎の問題で血液型が出てきたら、まず「どの凝集原と凝集素を持っているか」を確認してから考えてみてください。それだけで、凝集するかどうかの判断がかなりスムーズになるはずです。

情報は更新時点のものです。最新情報は公式サイトもあわせてご確認ください。

この記事を書いた人

「ゴイノワ」ナギ

『くらしごと』では、暮らしの中で気になることや、動く前にちょっと確認しておきたいことをわかりやすくまとめています。

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