「6次産業」という言葉、なんとなく聞いたことはあっても、説明しようとすると意外と詰まりませんか? 数字が入っているので、なにか特別な分類名なのかと思いきや、じつはこの「6」に意味があって、そこを押さえるとすっと分かる言葉だったりします。
『ゴイノワ』のナギです。今回は「6次産業」の意味と、どういう場面で使われるのかを書いていきます。
農業や漁業のニュースでよく出てくる言葉ですが、農家だけの話というよりも、地域の食や産業の仕組みを知るうえで知っておくと見え方が変わる言葉です。
「6次産業」の6はどこから来るの?
1次産業(農業・漁業・林業)の「1」、加工業などの2次産業の「2」、販売・サービスの3次産業の「3」。この三つをかけ算すると、1×2×3=6。そこからきた言葉です。
もともとは東京大学名誉教授の今村奈良臣氏が提唱した造語で、農林漁業者が加工から販売まで自分で担うことで、これまで中間業者が受け取っていた利益を生産者自身が得られるようにしよう、という考え方から生まれました。
足し算ではなくかけ算なのがポイントで、どれか一つが欠ければゼロになる、という意味も込められているそうです。三つが揃って初めて成り立つ、という考え方ですね。
もう少し具体的に言うとどういうこと?
たとえば、野菜を作っている農家が、その野菜を使ったジャムや加工品を自分で作り(2次産業)、直売所やネットショップで販売したり、農家レストランを開いたりする(3次産業)、こういう経営のかたちが「6次産業化」です。
新潟の農家レストランやトマト農家が開くピザ屋など、実際にこうした取り組みをしている生産者は全国に増えていて、農林水産省も「六次産業化・地産地消法(平成22年公布)」で制度的に後押ししています。
自分で加工して販売するぶん、手間も資金も必要になりますが、その代わりに価格を自分で決められる余地が生まれる。それが大きいんだと思います。
何がいいの?どこが難しいの?
日本政策金融公庫の調査によると、6次産業化に取り組んだ事業者の74.5%が所得の向上を実感しているという結果があります。流通を通さないぶん、中間マージンが削られず、自分の手元に残りやすくなる効果が大きいとされています。
- メリット
-
生産から販売まで自分で担うことで、所得を直接増やせる可能性がある
一方で、これまで農業だけをやってきた人が販売や経営のノウハウまで担うのは、かんたんではありません。加工設備への投資、人手の確保、販売先の開拓など、やることが一気に増えます。
「やれることが増えてよかった」という声の裏に、「思っていたより大変だった」という声も少なくない。この両面があることは、頭に入れておいたほうがいいと思います。
「6次産業化」との使い分けは?
「6次産業」と「6次産業化」はほぼ同じ意味で使われますが、「6次産業」は経営のかたちや概念を指す言葉、「6次産業化」はその取り組みや動き・プロセスを指す言葉として使われることが多いです。
「この農家は6次産業に取り組んでいる」「地域全体で6次産業化を進めている」のような使い方で、どちらもほぼ同じ文脈で使えます。どちらが正しいというよりは、文の流れで自然なほうを選べばいいかなと思っています。
ナギ生産者が売る側にもなるって、結構すごいことですよね
誰が使う言葉?どこで見かける?
農業や地域振興のニュース、農林水産省の政策資料、農業系の就職・転職サイトなどでよく見かけます。農家や漁師だけでなく、地域おこし協力隊、食品メーカー、自治体のスタッフなど、食と地域に関わるさまざまな人が使う言葉です。
近年は農家レストランや産直ECの普及もあって、消費者側にも少しずつ広まっています。「この商品は農家が直接作って売っているんだな」と知るとき、その仕組みの名前が「6次産業化」です。
「直産品」「農家直送」などと書かれた商品を見たことがある人は、すでに6次産業の恩恵に触れているかもしれません。
6次産業でできる3つのこと
6次産業化によって農林漁業者が期待できることを、ざっくりまとめると次の3点です。
- 生産だけでなく加工・販売まで手がけること
- 農林漁業者の所得を自分で確保しやすくなること
- 地域資源を活かした新しいビジネスが生まれること
所得だけでなく、地域活性化や雇用創出につながる点も、この言葉が政策的に注目される理由のひとつです。
「6」の意味を知ると腑に落ちる
「6次産業」は、生産者が加工と販売まで一体で担う経営のかたちを指す言葉で、1×2×3=6という計算式が名前の由来です。農業や漁業のニュースで見かけたとき、「作った人が売るところまでやっている」という意味だと思えば、だいたい外れません。
農林水産省が法律を作って支援するほど国として力を入れている取り組みで、実際に所得が上がったという声も多い。ただ、やることが一気に広がるぶん、すべての生産者に向くかどうかは別の話でもあります。
直産品や農家レストランを次に見かけたとき、「これが6次産業か」と一度思い返してみると、言葉の意味が自分の中でより具体的になると思います。












