給与明細や求人票を見ていると、「106万の壁を超えないように」という話を耳にすることがあります。なんとなく「超えたら損をする」くらいは分かっていても、なぜ106万なのか、何が発生するのかが今ひとつつかめていないという方も多いのではないでしょうか?
『ゴイノワ』のナギです。この言葉、ざっくり知っているつもりで読み流していると、似た言葉がいくつもあってどこかで混乱するんですよね。
この記事では、「106万の壁」の意味と仕組みを、条件や他の壁との違いも含めて順番にほどいていきます。2026年以降の制度変更についても触れているので、今まさに働き方を考えている方にも参考にしてもらえると思います。
106万の壁とは、社会保険の加入ライン
「106万の壁」とは、パートやアルバイトで働く人が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければならなくなる年収の目安のことです。
正確に言うと、年収106万円という数字は「月額賃金8万8,000円 × 12ヶ月」から来ています。月の給与が8万8,000円を超えると、年間換算で約106万円になるため、この言葉が使われています。年収そのものではなく、月の賃金が判断の基準になる点は、少し頭に入れておくといいかもしれません。
この壁を超えて社会保険に加入するということは、健康保険料と厚生年金保険料を自分で払い始めるということ。月収9万円の場合、社会保険料は月に1万2,000円前後かかることもあり、手取りが一時的に減ります。だからこそ「壁」と呼ばれ、働く時間を調整する人が出てきたわけです。
加入対象になる5つの条件
106万の壁が適用されるのは、誰もが対象というわけではありません。次の5つの条件をすべて満たしたときに、社会保険への加入義務が発生します。
- 従業員51人以上の会社で働いている
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8万8,000円以上(基本給ベース)
- 雇用期間の見込みが2ヶ月を超える
- 学生ではない
ここで注意しておきたいのは、通勤手当や残業代、ボーナスは月額賃金の計算に含まれないという点です。基本給と固定的な諸手当だけで8万8,000円を超えているかどうかで判断されます。交通費が高くても、それは賃金には入らない。意外と「壁を超えていなかった」というケースもあるので、自分の給与明細を一度確認してみてください。
106万の壁と130万の壁、何が違う?
似た言葉に「130万の壁」があります。どちらも社会保険に関係する壁なのですが、意味が少しずれています。わたしもここで一度立ち止まったので、整理しておきます。
| 壁の種類 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 106万の壁 | 勤務先の社会保険に加入する基準 | 条件を満たす会社勤めの人 |
| 130万の壁 | 家族の扶養から外れる年収の上限 | 扶養に入っているすべての人 |
106万の壁は「自分の勤務先で社会保険に入るかどうか」という話です。一方の130万の壁は「配偶者や親の扶養に入り続けられるかどうか」というライン。働く会社の規模が50人以下なら106万の壁は関係なくても、年収が130万を超えれば扶養を外れて自分で国民健康保険や国民年金に加入することになります。
つまり、106万の壁は「条件次第では関係ない人もいる」が、130万の壁は扶養に入っている人であれば誰にでも関係してくる、という違いがあります。
年収の壁は他にも並んでいる
「106万の壁」という言葉だけを覚えても、実際には似たような壁がいくつも並んでいます。それぞれ発生する負担の種類が違うので、一度流れとして見ておくと頭に入りやすいです。
- 100万円の壁
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住民税が発生し始めるライン
- 103万円の壁
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所得税が発生し始めるライン
- 106万円の壁
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条件を満たすと勤務先の社会保険に加入する義務が発生するライン
- 130万円の壁
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家族の扶養から外れる年収の上限
100万・103万は税金の話、106万・130万は社会保険の話。この2系統に分けて覚えると、それぞれの壁が何に影響するのかがつかみやすくなります。
2026年10月、106万の壁はどうなる?
2025年6月に年金制度改正法が成立し、106万の壁(月額賃金8万8,000円以上という要件)は2026年10月に撤廃される予定です。これによって、月収が8万8,000円を下回っていても、週20時間以上働いていれば社会保険の加入対象になっていきます。
ナギ「壁がなくなる」より「壁が変わる」に近い話なんですよね
撤廃後は「106万の壁」という基準がなくなる代わりに、「週20時間の壁」が実質的な境目として注目されるようになります。賃金要件はなくなりますが、労働時間の要件と企業規模の要件はしばらく残ります。企業規模については2035年に完全撤廃の方向で段階的に広がっていく見通しです。
「106万の壁」を知った次に見ること
「106万の壁」は、社会保険の加入義務が発生する年収の目安として使われてきた言葉です。月額8万8,000円という賃金ラインをもとにしており、勤め先の規模や労働時間などの条件も重なって初めて加入義務が生じる仕組みになっています。
2026年10月以降はこの賃金要件が撤廃される見通しで、今後は「週20時間」を軸に考える場面が増えてくると思います。130万の壁は今後も続くため、扶養内で働きたい場合は引き続き130万円のラインも確認しておく必要があります。
自分がどの壁に関係するかは、会社の規模と週の労働時間を確認するところから始められます。「そもそも自分は条件を満たしているのか」を一度確かめてみると、106万という数字の見え方も少し変わるはずです。












